リーダーシップの授業:分野を越えた議論の面白さ

今学期受講しているクラスの1つにリーダーシップがある。心理学の科目としてオファーされているが、同時にT(Transdisciplinary)コースとも呼ばれ、様々な分野からの知見をベースに特定のトピックに対し、包括的にアプローチするスタイルとなっている(学際研究とも呼ばれている)。受講している学生も心理学のみならず、宗教学、教育学、哲学、情報システムを学ぶ学生が集まっており、毎回の議論も面白さが増す。また、Tコースという点に限らないが、アカデミックな場に長い間いた学生の意見と、現場で様々な経験をしてきた学生の意見とがブレンドする場として、知的刺激に満ちたものにもなっている。この授業の特徴を振り返っていたら、私のかつてのアドバイザーであった教授が、小さなリベラルアーツカレッジに移動した際に直面したある大変さを語っていたのを思い出した。

彼が以前教鞭を執っていた大学(中型サイズ)では、もちろんのごとく様々な学部が設置されており、彼はその中の心理学部にいた。仕事をする際の彼にとっての同僚は、きまって心理学者であり、単語や専門用語も、同じ専門家同士ごく使い慣れたものばかりであったという。それが突然、大学移動後に、物理学者、言語学者、生物学者、経済学者と・・・多様な教授陣と日々触れ合うことになり、何をどう話したらいいのか戸惑ってしまった、という経験を語ってくれた。しかし、やがては互いの考え方を理解しあい、彼らとのコミュニケーションにも慣れ、研究のコラボが実現するといったような意義ある結果を生めるようになってきたとも話してくれた。

これらを通して今回強調したいポイントは、学問の発展には、分野間のコミュニケーションやアイディアの交換が重要な役割を持っているということである。『思考の整理学』を書かれた外山教授も、生物学に基づくインブリーディングの考え方(同系繁殖、近親交配、近親結婚により、遺伝上の問題が起きてしまうこと)を、知的分野に応用する議論を展開されている。会社組織の例でいうと、以下のように述べられている。

企業などが、同族で占められていると、弱体化しやすい。それで昔の商家では、代々、養子を迎えて、新しい血を入れることを家憲としたところがすくなくない。似たものは似たものに影響を及ぼすことはできない、という。同族だけで固まっていると、どうしても活力を失いがちで、やがて没落する。p.167

先の例に述べた教授の例は、学問と学問の間における交流を通し、同じ専門を持つ学者同士のインブリーディングをさける試みといえよう。しかし、単にそういった交流を増やせばどうにかなるか、というとそうではなく、必ずしも成功例ばかりではない。現に、Tコースも、うまくいっていないケースが多いと聞く。ともあれ、今のところは毎週のこの授業を楽しみにできているので、今後とも、リーダーシップ研究そのものから、また何よりも他分野から参加している学生の意見等から多くを学んでいきたいと感じた。

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