「強み」を活用する際に覚えておきたい3つのポイント

臨床心理学や精神医学を学ぶ上で欠かせないのが、『精神障害の診断と統計の手引き(Diagnostic and Statistical Manual of Mental Disorders, DMS)』。その対極に位置づけようとしてクリストファー・ピーターソン博士とマーティン・セリグマン博士によって書かれたのが、強みと美徳をまとめた分類ハンドブック『Character Strengths and Virtues: A Handbook and Classification』である。調べたところ、まだ日本語訳はないみたいだ。ポジティブ心理学では、6つの「美徳」と、その中に分類される24もの「強み」が扱われており、例えば、節度という美徳の中には、自制心、慎重さ・思慮深さ、謙虚さ、といった強みがある。そして、個人の強みを見つけるためにこのハンドブックをもとに作られたVIAという尺度がある(リンク参照)。一般的には、『さぁ、才能(じぶん)に目覚めよう』にて紹介されているストレングス・ファインダーを利用し、ご自身の5つの強みを見出された方の方が多いだろう。この二つの尺度の違いについては今回は省かせていただくが、今回、見出した強みを活用する際に考慮すべき3つのポイント―関連性、葛藤、具体性―を紹介したい。

  • 関連性 (Relevance)

今この状況には、勇気が必要なのか、正直さが必要なのか・・・・?現実の生活は「この状況に対しては、この強みが使える」といったようなラベル付きではやってこない。これが関連性という1つ目のポイントである。

  • 葛藤 (Conflict)

2つ目のポイントは、葛藤だ。与えられた状況に対し、活用すべき強みが複数存在する場合どれが一番適切なのか、といった判断が難しくなる。先生が成績をつけている際に、「公平さ」を活用するべきか、それとも「寛容さ」を活用するべきなのか・・・?

  • 具体性 (Specificity)

3つ目のポイントとして、目の前で起こっているユニークな状況に対し、強みと美徳そのものには、それらを行動に移す際の基準が決められていないことを覚えておかなければならない。これが具体性の問題である。個人のイマジネーションや感覚を利用し、コンセプトとしては曖昧なそれぞれの強みをうまく行動へと訳していく必要がある。

これらのポイントを指摘したバリー・シュワルツ博士は、強みの一つ一つは独立したものではなく、複雑に絡み合ったものとして捉えている。さらに、どれか1つの強みがある別の強みよりもいい、というわけではないという点にも言及。強みの活用に偏りができてしまうと、ボディービルダーが腕の筋肉だけを鍛えてしまうのと同じく、歪みを生んでしまうからだ。彼の意見とも一致する点ではあるが、見出した5つの強みへのみ焦点を置くのではなく、それらを軸に、他の強みを様々な場面でどうバランスよく活用していけるかを考えるのも、大事になってくるのではないだろうか。最後にシュワルツ博士は、上に挙げた3点をうまく考慮してゆける人には、Practical Wisdom(実践知)が備わっている、と論じている。そして実践知とは、教えられるものではなく、経験によって得られるもの、というのも彼の論点だ。今後のエントリーにて、このPractical Wisdomについて詳しく紹介していきたい。

尚、今回の内容は、『Journal of Happiness Studies』にて掲載されたシュワルツ教授の2006年の論文を参考にしたものである。

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