実践知(Practical Wisdom)とは?:アリストテレスがポジティブ心理学に出会う

先日のエントリーで紹介させていただいた実践知(Practical Wisdom)というコンセプトを紹介させていただいたが、今回さらに詳しく踏み込んでいきたい。コンセプトそのものは、アリストテレスの提唱したフロネシス(Phronesis)という概念にさかのぼり(つまり、真新しい考えではないということ)、賢慮(Prudence)、実践的推論(Practical Reason)、実践的知恵(Practical Wisdom)を意味する言葉である。アリストテレスの概念にはここではあまり深入りしないが、より良い生活を送るためには、様々な美徳を場面や状況のニーズに応じてうまく活用、そして調和していくべきである、というのが彼の考え方である。そして、それらの美徳を統合する「マスター美徳」としてフロネシス(実践知)を提唱している。

この概念を、生活や仕事の場面に応用し、改めて紹介されているのが過去にも紹介させていただいたバリー・シュワルツ教授、そして特にリーダーシップ、経営の分野への応用を提唱されている野中郁次郎教授である。シュワルツ教授は、2009年のTED会議にて「知恵の喪失」と題された講演をされている。非常に興味深い内容なのでぜひお勧めしたい。


野中教授は、クレアモントとも縁のある方であり、フロネシスの概念にはシュワルツ教授よりも前から注目されている。今回のエントリーを書く際に参考にさせていただいた記事も興味深く読ませていただいた。

実践知を理解する上で大切な点の1つに、この概念は、「この状況においてはこうしなければならない」、「こうすることは間違っている」などといったガチガチのルール、または厳しい倫理規範ではないということである。あくまで個人の良識や主観に基づいて発揮されるものとして考えられている。したがって、与えられた状況に対し、どういった判断をどこまでタイムリーに下していくかというプロセスに実践知が必要とされるのだ。その際に、個人の持つ様々な強みや美徳をどうバランスよく活用するかも大事な焦点となる。さらに、興味深いポイントのもう1つとして、実践知は教えられて身につくものではなく、経験の中で身につけていくものであるという点だ。現地点では、その「経験」を通して、人がどのように実践知を身につけていくのかは明らかにされていない。生活や仕事の場面において、生きがいに溢れたより良い人生(アリストテレスの探求した幸福「エウダイモニア」)につながるのであるならば、今後ますます研究と実践の両場面で注目していきたい概念である。

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