ある「心理学の仕事」がアメリカで収入ランキングトップ10に

先日、米ニュース専門放送局CNBCが、米国における高額収入の職業のリストを発表した。医者や歯医者、また社長がそれぞれ上位を占めていることには驚かないだろうが、そこに産業・組織心理学者(Industrial-Organizational Psychologist)が、薬剤師、旅客機のパイロット、そして財務管理者などを抑え、第10位にランクインしていたのだ。一般的にあまりお金にならないとされている心理学専攻の常識から考えると驚きの結果であろう。今まさに学んでいる分野でもあるのだが、ランキングに含まれているのは実践家として活躍する人たちのみであり、アカデミアに残ろうと考えている私にとっては、残念ながらあまり縁のない話となってしまう・・・。が、気を取り直して、「心理学の仕事」の一つを簡単に紹介したいと思う。

産業・組織心理学(Industrial/Organizational Psychology)は、その名前の長さゆえか、一般的に米国ではI/O Psych(アイ・オー・サイク)と呼ばれている。心理学のサブ分野(Division 14)としてアメリカ心理学会(APA)からも認められているが、多くの入門レベルの教科書では産業・組織心理学については紹介されていない。したがって、心理学部専攻の学生でもこの分野についてはあまり知らない人が多い。大学内にこの分野を専門としている教授がいれば、その人を通して知ることができる、というのが現状だろう。また、存在するプログラム数だけを比較しても、日本とアメリカでは1対10ぐらいと大きな差があるので、日本における存在感はさらに小さいのではないかと感じる。

それではいったいそんなマイナーな分野で何を学ぶのか?学んだことをを応用してどういった仕事に就けるのか?まず、産業・組織心理学は、心理学的理論、研究を職場に応用する学問であり、人材採用、企業研修、組織開発、そしてストレスや仕事の意義といった仕事上における人の経験の質に関連する研究トピックなどが含まれる。多くの修士プログラムでは、これらのテーマにおける研究と実践のバランスの取れた訓練を受けることができ、(北米に限られてしまうかもしれないが)卒業生はコンサルタントや人事マネージャーなどとして、現場での即戦力が認められ、昇格のスピードもはやいという。博士プログラムにおいては、先述のテーマにおける研究に従事する人材の育成を目標としているが、学位取得者の中には、アカデミックの世界みならず、民間企業や、独自のコンサルティング会社の起業などを通し、実践場面で活躍する人も少なくない。

以上、一例として産業・組織心理学者を紹介させていただいたが、臨床心理士や学校心理学者など、その他にも意義深く尊い「心理学の仕事」があることを忘れないでいただきたい。また、自分がいかに仕事を捉えていくのか(参考記事)といった点についても考慮していくべきであろう。ともあれ、心理学を使って何かしたいと思っている人にとって、この記事が少しでも参考になれば幸いだ。

参考記事:America’s Highest Paying Jobs 2012

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