カテゴリー : 組織心理学

できるリーダーが持つべき資質とは?

今回もまた、『PsyBlog』の記事「The Most Surprising Attribute of Great Leaders」から紹介させていただく(尚、以下の翻訳文は公式のものではないのでご了承願いたい)。今回扱ったのは、リーダーシップ研究に関する最近の論文を紹介した記事だ。リーダーシップの研究は組織心理学、また組織行動学においても非常に活発であり、リーダー個人や文脈、またその相互作用などに焦点を置きながら様々なアプローチが展開されている。その中でも個人の持つ資質に注目をしたアプローチは、早くから研究が進められてきた。今回の記事で紹介されていた論文は、意外にもその重要性が認められた新たな資質について迫ったものだ。

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ある「心理学の仕事」がアメリカで収入ランキングトップ10に

先日、米ニュース専門放送局CNBCが、米国における高額収入の職業のリストを発表した。医者や歯医者、また社長がそれぞれ上位を占めていることには驚かないだろうが、そこに産業・組織心理学者(Industrial-Organizational Psychologist)が、薬剤師、旅客機のパイロット、そして財務管理者などを抑え、第10位にランクインしていたのだ。一般的にあまりお金にならないとされている心理学専攻の常識から考えると驚きの結果であろう。今まさに学んでいる分野でもあるのだが、ランキングに含まれているのは実践家として活躍する人たちのみであり、アカデミアに残ろうと考えている私にとっては、残念ながらあまり縁のない話となってしまう・・・。が、気を取り直して、「心理学の仕事」の一つを簡単に紹介したいと思う。 続きを読む

採用担当者はあなたのFacebookを見ている?

様々なソーシャルネットワークサイト(SNS)が普及する中、近年、企業の採用担当者が求職者の情報を調べるために、それらのサイトを活用することが多くなってきている(参照ニュース)。2009年に行われた、CareerBuilder.comというアメリカの就職関連サイトの調べによると、45%の採用担当者が、求職者のことを知るためにSNSを利用しているという。また、同じ調べでさらに分かったのが、35%の企業が、SNS上で見つかった好ましくない写真や発言などの情報により、採用を取りやめたことがあるそうだ。ただ、悪い点ばかりではなく、LinkedInなどのプロフェッショナル向けのサイトの情報が、採用者にとって求職者の評価を強める材料になったという報告もある。 続きを読む

「元気づけ」のアウトソーシング:いかに「意味」をもって仕事のモチベーションを上げるか?

先週、現プログラムの博士課程1年目を無事終えた。試験2つとペーパーが全て同日にあったのでなかなか体にこたえたが、終了後は解放感に満たされて特に何もすることなく過ごした。それもつかの間、今週から夏の授業が始まるので、改めて体をアカデミックモードに慣らし始めねばと思い、このエントリーを書くことにした。今回紹介したいのは、約一ヶ月前にツイートしたウォートンスクールのアダム・グラント教授の講演内容である。

彼の研究分野は、個人的にも重なる部分が多く、かつてはプロフェッショナルマジシャンとして活躍されていたみたいなので妙に親近感がわく。今所属するプログラムで来学期に彼を招待するような話が出ていたので、実現を心から望みたい。さて、講演内容だが、従業員の感じる仕事をする上での「意味」が、いかに彼らにそして組織全体に影響をもたらすことをうまく説明してくれている。以下、グラント教授の話をまとめたものである。元のビデオには字幕はないが、参考のために付け加えておいた。

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実践知(Practical Wisdom)とは?:アリストテレスがポジティブ心理学に出会う

先日のエントリーで紹介させていただいた実践知(Practical Wisdom)というコンセプトを紹介させていただいたが、今回さらに詳しく踏み込んでいきたい。コンセプトそのものは、アリストテレスの提唱したフロネシス(Phronesis)という概念にさかのぼり(つまり、真新しい考えではないということ)、賢慮(Prudence)、実践的推論(Practical Reason)、実践的知恵(Practical Wisdom)を意味する言葉である。アリストテレスの概念にはここではあまり深入りしないが、より良い生活を送るためには、様々な美徳を場面や状況のニーズに応じてうまく活用、そして調和していくべきである、というのが彼の考え方である。そして、それらの美徳を統合する「マスター美徳」としてフロネシス(実践知)を提唱している。 続きを読む

リーダーシップの授業:分野を越えた議論の面白さ

今学期受講しているクラスの1つにリーダーシップがある。心理学の科目としてオファーされているが、同時にT(Transdisciplinary)コースとも呼ばれ、様々な分野からの知見をベースに特定のトピックに対し、包括的にアプローチするスタイルとなっている(学際研究とも呼ばれている)。受講している学生も心理学のみならず、宗教学、教育学、哲学、情報システムを学ぶ学生が集まっており、毎回の議論も面白さが増す。また、Tコースという点に限らないが、アカデミックな場に長い間いた学生の意見と、現場で様々な経験をしてきた学生の意見とがブレンドする場として、知的刺激に満ちたものにもなっている。この授業の特徴を振り返っていたら、私のかつてのアドバイザーであった教授が、小さなリベラルアーツカレッジに移動した際に直面したある大変さを語っていたのを思い出した。 続きを読む

ワークパラドックス:労働者におけるフロー体験の研究から分かったこと

過去のエントリーでも紹介したが、フロー理論の中では、フローを体験するためには、個人のスキルレベルに合ったチャレンジレベルが必要となる。それでは、仕事の場面において、フロー体験に必要なスキルレベル・チャレンジレベルがそろっていれば、必ずフロー体験そのものにつながるのだろうか?ひょっとするとそうではないのかも知れない、というのが今回の話である。

1989年、『Journal of Personality and Social Psychology』の中で紹介されたCsikzentmihalyi博士、LeFevre博士両者の研究は、78人の労働者を対象にExperience Sampling Method (ESM:経験サンリング法)という方法を使って1週間参加者を追い、彼らの仕事中やレジャー中の心理的経験(フロー、不安、退屈など)について調べたものだ。 続きを読む